2024年11月28日付

2024/11/28 08:00
八面観

しばらく前になるが、傘、特にビニール傘の盗難に遭わないようにするための苦肉の策が、インターネットで紹介されていた。安価で手軽なビニール傘から1万円ほどの高価な傘に替えたところ、盗まれなくなったという内容だった▼ほかの人の傘を平気で持っていく人には、自分の傘と見分けがつかなくて間違えてしまった人を除けば、「これくらいはいいだろう」の意識が働くに違いない。多くの人が傘の盗難に悩んでいると推察される。自身にも傘がなくなっていた経験が多々あり、これまでに10本近くにはなるだろうか▼先日は、ある駐車場で隣に止まった車のドアが開き、こちらのドアに「ガン」。降りてきた人は動じたそぶりも見せず、すたすたと行ってしまう。あきれて声を掛けると、「ちょっとぶつかってしまって」。一応「すみません」と謝っていたが、釈然としなかった▼つまり気が付かなかったわけではなく、ぶつけたことを認識していたのだ。にもかかわらず、自ら申し出なければ何事もなかったことにできると思うのだろうか。ここにも「これくらいなら」や「ちょっとくらいなら」が垣間見える▼では「これくらい」や「ちょっとくらい」とはどのくらいなんだろう。やられる側に嫌な思いをさせても、どのくらいまでならいいんだろう。その度合いは曖昧で人によっても異なるはず。自戒を込めて、いつも考えさせられてしまう。

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