2024年10月16日付

2024/10/16 08:00
八面観

小学生の時に魚釣りを覚え中学時代には、ほぼ毎日夢中で川へ通った。中学生になると、高価な釣り具が半額になる正月の初売りで配る商品券を狙い、中心市街地にある釣具店に並んだ▼その釣具店には釣り師が大勢集まり釣り談義が絶えなかった。大人は中学生を邪魔者にせず、釣り方を教えてくれ、そのおかげで腕が上達した。店主も面倒見がよく茶鱒釣りに連れて行ってくれた。高校生になると友達と商店街へ繰り出し、飲食やゲームをしてよく遊んだ▼大人になり、釣具店の店主が地元漁協の組合長に就いた時、「恩返しができる」と同級生の釣り仲間と漁協の事業を手伝った。30歳から7年間経営したバーは、思い出が詰まった街に身を置きたいという気持ちの表れだったかもしれない▼富士見町の富士見駅前商店街に今月、中高生の放課後の居場所となる民間の「ユースセンターまるいち」がオープンした。運営の代表者は「中高生が町の人と関わって富士見を好きになり、いつか町へ戻って来る気持ちになる思い出を育む場にしたい」と言った▼駅前には住民の誰もが立ち寄れる町の地域共生センター「ふらっと」もある。どちらも気軽に過ごせる交流の拠点。たとえ人口減少対策に直結しなくても、子どもが思い出を育む環境は充実していた方がいい。成長期の思い出は未来の原動力だ。子どもたちよ、2施設でいっぱい思い出をつくってね。

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