恥ずかしながら、「打ち言葉」という言葉を最近になって知った。「書き言葉」「話し言葉」に続く、新しい言葉だ。最近は見出しに採用している辞書もあり、小学館の「新選国語辞典」には「電子メールやSNSなどで入力キーを打って書かれた語句・語法。極端な略語や絵文字などに特徴がある」とある▼文化庁が2018年に発表した文化審議会国語分科会の「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」にもすでに取り上げられており、書き言葉では欠落してしまう表情や声の調子などの言語外の情報を補うため、「打ち言葉」では「顔文字や絵文字といった代替手段が発達してきました」と説明している▼ネットを見渡せば「了解」を「りょ」や「り」と略したり、笑顔や泣き顔、汗顔の絵文字で感情を表現したりする例を見ることができる。世代差がある表現だから、伝える相手を考えて使わないとコミュニケーションを損ねることもあるだろう▼一方で、先の報告書では「言葉の奥にあるちょっとした感情を表すこともできます」「互いに理解を深めていくための受け止め合いであることに変わりはない」と指摘している▼15日に公示を控える衆院選の候補予定者たちもLINEやXなどのSNSを活用している。書き言葉、話し言葉、打ち言葉の兼ね合いを見れば、誰に向かって訴えようとしているのか探ることができるかもしれない。
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