諏訪市高島にある長野日報社の本社に、一枚のポスターが貼られている。「ポリオのない世界まで あと少し」の文字。茅野市出身で五輪金メダリストの小平奈緒さんがほほ笑み掛けている▼ポリオの根絶に取り組む国際ロータリーのポスター。「かつて小児まひと呼ばれたポリオ(急性灰白髄炎)は、特に5歳未満の子供に感染しやすい病気です」と呼び掛け、感染すると手や足にまひが残る可能性があると説明しながら、症例数は99.9%減少していると伝えている▼厚生労働省のホームページを見ると、まひ性のポリオを発症した場合、一般に2~5%の子どもが死亡するという。特効薬などの確実な治療法はなく、唯一できるのが予防で、ワクチン接種によってポリオから子どもを守ることができるとしている▼パレスチナ自治区ガザで1日から12日まで、10歳未満を対象に大規模な予防接種が進められた。交戦するイスラエル軍とイスラム組織ハマスは、接種が行われた地域と時間帯に限定して一時的に戦闘を休止。約56万人が接種を受け、目標の接種率9割を達成したことが報道された▼素晴らしいことではあるが、解せない思いも拭えない。戦闘は続き、自分たちが守った子どもたちを自分たちで犠牲にするかもしれないから。子どもたちを未来永劫守るため、ごく限定的にせよ可能だった休戦を未来永劫のものとすることはできないのだろうか。
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