2024年9月12日付

2024/09/12 08:00
八面観

リコー社が21年ぶりにフィルムカメラの新製品を発売するとの記事が本紙6月23日付の経済面に掲載され、少し驚いていたら9月8日付の「こども日報」によると、この新製品「PENTAX17」は「申しこみが集まってあっという間に完売するほどの人気となりました」という▼「SNS世代の若者にも人気なのだそうです」とのことだ。そして、自動化され何度でもやり直せる便利なデジタルカメラやスマートフォンと比べ、フィルムカメラは「自分だけの特別な1枚を撮影できるのが人気の理由のようです」と解説している▼他方、8月23日付には、生成AI(人工知能)がナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の史実を改ざんする恐れがある-と国連教育科学文化機関(ユネスコ)が警鐘を鳴らしたとの報告があった。反ユダヤ主義的な主張を学習したAIが存在しない出来事を答える事例があり、偏見が強化される可能性があるという▼ユネスコは「生成AIの作る音声や画像データは、専門家でも真偽の判別が難しいケースがある」とも指摘している。いかにも現実にありそうな画像がAIで簡単に生成され、SNSにフェイク画像があふれるようになってしまった▼裁判でも確かな証しとして利用されてきた写真でさえ信用が危うい時代。フィルムカメラの「特別」に人が引き付けられるのは、不安の裏返しなのかもしれない。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。