2024年8月27日付

2024/08/27 07:59
八面観

富士見町乙事出身で、家電やスポーツ用品の大手量販店「ヨドバシカメラ」(東京)の創業者藤沢昭和さん(88)が同町に対し、3億円の企業版ふるさと納税を決めた。藤沢さんは今月、町役場を訪れ、名取重治町長に目録を手渡した▼藤沢さんは農家に生まれ、富士見高校を卒業後、25歳の時に一家で上京する。当時農業は馬耕から耕運機への転換期。「耕運機は高価で、稼ぎは借金返済に消える」。農業の将来を見据え、両親を説得し、田畑を処分し、背水の陣で上京した▼カメラを小売店に卸す行商を開始。小売店の様子を見て「自分で店を経営した方が早い」と判断。新宿区の裏通りに店舗を構えた。「まあるい緑の山手線、まんなか通るは中央線~♪」で有名なCMソングは、店の場所を知ってもらうために藤沢さんが考えた▼その後、駅前に土地を取得し、店舗を増やす。自社所有の土地にこだわる理由を「農家出身の私にとって”土地は命”。地べたを所有すれば追い出されないし、困った時は売ればいい」という。今や売上高7530億円(22年)、従業員5000人の企業になった▼今回の寄付の目的は「八ケ岳山麓の魅力発信と観光強化」。藤沢さんは幼い頃から八ケ岳の大自然に抱かれ、蜂追いやキノコ採りに奔走した。特に鼻戸屋(創造の森)からの眺めを気に入る。その愛情が寄付につながった。今後の町の計画を楽しみにしたい。

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