雑草対策は難しい。ことしも田んぼの雑草が伸び放題となってしまった。除草剤を散布する時期や量が合わなかったのか。稲刈りをお願いしている組合担当者の顔が目に浮かぶ。うんざりした声で「あの草だけは何とかして」と言われているだけに心が落ち着かない▼草の勢いは驚くばかり。刈っても刈っても切りがない。土に返る草はまだしも、缶や瓶が落ちているのを見つけると作業をしていて心がなえる。誰も見ていないから、といった気持ちでポイ捨てしたのだろう。もとより缶や瓶の行く末は考えるはずもない▼「時々、ビールのあきかん チューハイのあきかんが置いてあります 自分で飲んだもの片づけてくださいな!助かります 花子」。諏訪市の高島公園内の公衆トイレで、こんな張り紙が目に留まった。はがき大の黄色の紙に筆で書かれている▼公衆トイレは不特定多数が使う。ましてや高島公園は観光名所。清掃する側としたら、使い方にうんざりする場面は少なくないだろう。観光県のイメージ向上を目指して県は「信州まごころトイレ」を募り、認定証を交付。トイレの水洗化など設備の充実も促しているが、清潔さは大前提だ▼「そうじする人、使う人、その人の立場になって考えると、おのずと答えがでてきます」。「花子さん」は、こうも訴える。つまるところ他者への想像力。今の社会に必要不可欠な力をどう育んでいくか。
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