非効率ゆえに人間以上の情感を表現できるのだろう。非効率ゆえに観る側も引き込まれるのだろう。人形浄瑠璃文楽である。語り手の太夫、三味線、人形が三位一体となった上方生まれの伝統芸能。300年以上の歴史を持つ▼主遣い、左遣い、足遣い。人形遣いもまた三位一体である。背景に3人が立って阿吽の呼吸で動きをつくる。命が吹き込まれる。感情が表出する。非効率はある技芸員が語っていた言葉。「不自由で制約の中だからこそ生々しいものが出てくる」。非効率的だが、それが文楽の魅力だと▼3人で思い通り操るのは一朝一夕にはできない。伝統芸能に精通する下諏訪町「ぎん月」の武居智子さんによれば、3者が背景に立ち、人形を操るのは世界でも他に類を見ない。文楽は世界無形文化遺産でもある▼10月26日、諏訪市の諏訪湖畔で人形浄瑠璃文楽「本朝廿四孝 奥庭狐火の段」の無料公演が行われる。八重垣姫の恋物語。聖地・諏訪湖をそのまま舞台装置とする唯一無二の公演となる。実現に向けた資金調達で全国から支援と応援の声が集まっている▼「気持ちが高ぶってきた。好天になるように諏訪大明神にお祈りしたい」とは出演者で人形遣いの吉田勘彌さん。文楽界は技芸員が減少し、長引いた感染症では公演機会を失った。いまも国立劇場の再開のめどが立たない問題に直面する。県内公演が増えるきっかけにもなればいい。
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