「アウフヘーベン」。諏訪清陵高校の入学式だか、卒業式だか忘れたが、20年ほど前の高校生に校長先生が贈った言葉である。取材に訪れた体育館の片隅でドイツの哲学者ヘーゲルが提唱した概念を知り、一生覚えておこうと決めた▼新聞記者は何でも知っていると思われがちだが、少し違う。全ての知識にアクセスできるといった方が正確だろうか。求めれば何でも知ることができるが、現状にあぐらをかけば自分の浅い知識だけが頼りになる▼生徒は校長先生の話を静かに聞いていた。進学校に通う彼らは知っていたのかもしれない。知識を得た喜びを隠して学校を後にし、原付きバイクを走らせながら、ヘルメットの中で「アウフヘーベン」を連呼した。時々「バウムクーヘン」と言って物覚えの悪い頭に刷り込んだ▼アウフヘーベンは日本語で「止揚」と言う。矛盾・対立する二つの意見をいったん否定し、その状態を保ちながら、より高い次元に統合することを指す。数年前に東京都の小池百合子知事が多用して話題になったから、思い出す読者も多いだろう▼小池氏が3選を目指す都知事選に高い関心が寄せられている。過去最多の56人が立候補し、2期8年の小池都政に対する評価や子育て支援、東京一極集中などを巡って論戦を繰り広げている。投開票は7月7日。アウフヘーベンされた首都の姿を見てみたいものだと、ひそかに注目している。
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