2024年6月20日付

2024/06/20 06:00
八面観

「おじさんも、皆のような学びがしたかったな」。そう語り掛けると、「毎日すごく楽しいんです」と屈託のない自然な笑顔が返ってくる。県内で唯一の服飾科を設置する諏訪実業高校(諏訪市)。一般公開するファッションショーを22日に控え、3年生の練習が大詰めを迎えていた▼デザインから製図、縫製まで手掛け、自身がモデルとなってランウエーを歩く。シンガーソングライターに似るだろうか。衣装の魅せたい部分は自分が最も良く知る。一つ一つの動きにデザイナーとしての思いが表れる▼専門性を身につけ、夢に向かって探究する。岡谷産シルクでドレスを制作するなど地域に根差した学びもある。校舎から飛び出すことがなかったおじさんの時代、おじさんの学校。他校も特色ある学び、地域学習をしていてうらやましく感じることがある▼県立高校の再編実施計画懇話会が各地で立ち上がり、未来の高校生のために、地域の大人が現役生徒が意見交換を重ねている。「両校のいい部分は継承しつつ、ここにしかない学びを」。夢に近づく学びも、学びの中で夢を見つけられる高校も必要。多様な選択肢を保証する再編統合であってほしい▼高校文化祭の季節。未来の高校生たちも足を運び、いまの学びや学校の雰囲気に触れてほしい。この学びがしたい、こんな学びができたら。県教委も地域の大人も先輩たちも、皆の声を聴きたいはずだ。

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