「消滅」「ブラックホール」-。少々過激なワードが目を引く。民間の有識者でつくる「人口戦略会議」が4月に公表した報告書。全国の自治体の2050年までの人口推計を分析した結果、全体の4割に当たる自治体で若年女性人口が半減し、将来消滅する可能性があるとした▼報告書は子どもを産む中心的な年齢とされる20~39歳の女性人口に着目。減少率が50%以上の市町村を「消滅可能性自治体」とした。一方、人口の維持や増加を他地域からの流入に依存していて出生率が低い市区町村を「ブラックホール型自治体」と位置付けた▼人を吸い寄せるが、出生率には結び付かない。東京都内の16区を含む25の自治体がブラックホール型とされた。結婚するかしないか、子どもを産むか産まないかは個人の選択だ。ただ、結婚したいのにできない、子どもを持ちたいのに持てない。そんな実態があるとすれば問題だ▼国や地方も手をこまねいているわけではなく、子育て支援の充実に取り組んでいるが、若い人たちにはいまいち響いていないようだ。出生率が過去最低を更新したとの発表もあった▼目先の手当や給付金も大切だが、若者にとって重要なのは将来の安心感だろう。雇用や格差、貧困などの問題にしっかり取り組んでいく必要がある。というようなことはこれまでも指摘されてきたと思うが、なかなか大きな動きにならないのはなぜだろう。
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