離婚を経験した女性が「私はマルイチよ」と笑って話していたと、つい先ごろ古い友人から聞いた。人生の分かれ道を自ら選択し、晴れやかな表情で前を向いて歩く女性の姿を想像した▼離婚という言葉にはつらく、暗い響きがある。日増しに激化する夫婦の対立、家族の絆と幸福を疑わない子どもを襲う不安。父母兄弟、隣人への義理や約束という社会制度からはみ出した後ろめたさもあるだろう。離婚は「バツイチ」と言う俗称で長く語られてきた▼県内では一日に20組が結婚し、7組が離婚する。3組に1組の婚姻生活が破綻する計算だ。家族や子育ての在り方が多様化し、夫婦の決別を白眼視する風潮も変わってきた▼離婚後は父母のどちらかを親権者とする民法が改正され、父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入が決まった。別居親との交流に家庭内暴力の継続を心配する声がある。そもそも別れた元夫(妻)と冷静な協力関係が築けるのか。疑問は残る▼家庭や個人の対立を忘れて人間の幸福を論じるとはばかげた話だ、と語ったのは小説家の坂口安吾だ。政治や制度は目の粗い網で、人間は永遠に網にかからぬ魚だとも言っている。家庭内から多くの社会問題が起きているのに、政治や制度はあまりに無力だ。長い人生には「バツ」もあれば「マル」もあるさ。深夜のスーパーで安い弁当を選ぶ男の背中を見ながら幸福の意味を考えた。
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