2024年6月3日付

2024/06/03 06:00
八面観

世界文化遺産の富士山を有する山梨県は、以前から低山の魅力発信に力を注ぐ。「山梨百名山」やハイキングコース百選を選定し、サイトやSNS、パンフレットで低山ならではの楽しみ方をテーマ別に紹介。コースは県内全市町村を網羅する▼サイトを見ているだけで歩きたくなる。「富士山眺望」コースは32件あり、山頂で出合える眺めから交通アクセス、コース上の見どころ、注意点まで統一様式で掲載される。「駅からハイキング」(駅ハイ)ができる低山が多いことも売りにし、JR線からもハイカーを呼び込む▼十数年前、諏訪の有志が上諏訪駅を出発点とする大見山登山コースの整備とPRに乗り出した。諏訪市と下諏訪町にまたがる大見山山頂(標高1365メートル)は展望台が備わり、諏訪湖を一望できる絶景スポット。取り組みの成果にSNSでの拡散が加わり、登る人が増え始めた▼入笠山や守屋山、霧ケ峰、高ボッチ、鹿嶺高原、陣馬形山…。全てが駅ハイとはいかないが、諏訪、上伊那など南信だけでも中低山・高原の「百選」ができそうである▼手軽さや登る過程での景色の変化、季節の花だけでなく、山頂から見渡すアルプスや八ケ岳などの山並み、街並みから地域の豊かさを感じられることも中低山の魅力であろう。隣の芝生は青いではないが、地元住民の活用を促していくためにも山梨のような一体的な発信ができたらと感じる。

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