田植えの季節を迎える。通勤路沿いにある諏訪市の酒造好適米(酒米)の水田でも早苗を迎える準備が進む。世界的な品評会でチャンピオン・サケに輝いた下諏訪・御湖鶴の「山恵錦」の栽培ほ場である▼日本酒は蔵人と農家、大地の共同作品。酒米ほ場や周囲の景色を見渡すと、それが強く実感できる。「山恵錦」は県農業試験場が開発し、令和の始まりとともに品種登録された。冷害や病気に強い特性を持つ。水、米。山々からの恩恵が品種名に込められた▼自分の日本酒選びで重視する一つが米。先日は諏訪・本金の山恵錦を購入した。自室に並ぶ空いた四号瓶を見ると(片付けないといけないのだが…)他に美山錦、ひとごこちと信州生まれが圧倒的だ。旅に出ればまず、その土地を代表する酒米の地酒がないか探すだろう▼自然や大地の恵みと人の手。人の輪の中に若者が入ってきたことも心強い。県内の大学生らでつくる「信州Charm(チャーム)」が、諏訪市内5軒の酒造「諏訪五蔵」を取材してフリーペーパーを発行した。若者へのおすすめ酒や良く合うおつまみなど、学生目線で五蔵の魅力を紹介している▼さまざまな刺激や恵みを受けて成長する若者たち。苗代から広い水田へ移る早苗と重なる。自分も伝える立場に居るが、好みの酒の味や香りをうまく表現できないことが悩み。若い感性と若者たちの魅力の醸し方には期待しかない。
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