古典落語の演目の一つ「あくび指南」。何事も不器用な男が、友人を誘って町内に開講したあくびの指南所を訪れる。師匠の手本にならって早速、最も簡単だという「夏のあくび」の習得に励むが悪戦苦闘。指定された情景描写や複雑なせりふ回しが難しい▼実にばかばかしい滑稽噺なのだが、無駄に思えることでも情熱を注ぐ姿は見習うべきか。記者の仕事に「一を聞いて十を知る」ということはない。一の記事を書くために、十の情報を必死に拾い集める。原稿の出来を左右するのは、決して無駄ではない9割の背景▼新年度が始まって1カ月。新社会人の皆さんは新しい環境に慣れただろうか。理想と現実の違いに気がめいってはいないか。わずらわしい先輩の小言に、「こんなことに何の意味が」とうんざりしている人もいるかもしれない▼効率化がよしとされる昨今。一見すると役に立ちそうもない教えなら反発はなおさらだ。けれども何が必要で不要かなんて、一通り経験を積むまでは分からないもの。先輩の小言の中には金言もきっとある。はなから無意味だと線引きせず、耳を傾けても損はない▼ただし、世の中は不条理。素直で一生懸命な姿勢が必ず報われるとは限らない。「あくび指南」でも男の努力は徒労に終わる。一方で見学していただけの友人、退屈に耐えかねて思わず大あくび。そこで師匠が一言、「お連れさんの方がご器用だ…」
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