”キング”が紡ぐ歴史はまだまだ終わらない。サッカーJFL鈴鹿所属の元日本代表FW三浦知良選手(57)が、プロ40年目を迎える来季も同クラブで現役を続けるという。賛否は分かれるだろうが、率直に頭が下がる▼日本のワールドカップ(W杯)初出場が断たれた1993年「ドーハの悲劇」ではピッチ上に泣き崩れ、98年W杯フランス大会は開幕直前にメンバー落ちする屈辱。鮮烈なゴールや名場面は枚挙にいとまがないけれど、振り返ればW杯を巡る悲運のイメージが強い▼個人的には2017年2月26日、J2開幕戦の横浜FC-松本山雅が思い浮かぶ。山雅側の記者として取材しつつ、50歳の誕生日に先発出場した横浜FCの三浦選手を目で追った。三ツ沢球技場のアウェー席に「KAZU」の横断幕が掲げられていたのも印象深い▼紙面に使うのは当然、山雅の写真。それでも「何とかカズを」-とシャッターを切った。執念が実り、田中隼磨選手(当時)のシュートシーンに並走する三浦選手を捉えた。試合後には胸元にバラをあしらったピンクのスーツ姿で再登場。キングたるゆえんを見た▼「カズ現役続行」のニュースは案の定、好奇の目にさらされた。限界だ、引き際を、客寄せパンダでは…。それらの声も分かった上での決断だろう。7年前のあの日、横浜の地で「生涯現役」を誓った三浦選手。その思いはきっと、今も変わらない。
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