年の瀬である。「師走」の文字通りせわしない日々が続くが、クリスマスムードに包まれる街並みには心も踊る。この時期にふさわしい音楽の代表格といえば「第九」だろう。ベートーベンの交響曲第9番「合唱付き」▼暮れの風物詩として第九が根付いた背景には諸説あるようだ。日本交響楽団(現NHK交響楽団)が12月の公演をはやらせただとか、地方の楽団が年越しの「餅代稼ぎ」のために演奏していただとか。いずれにしても、日本では年末の音楽としてすっかり定着した▼ドイツの劇作家シラーの原詩で知られる第4楽章の「歓喜の歌」は、友情や平和を高らかに歌い上げる。だが、歴史をひも解くと実に皮肉なエピソードもある。1943年の暮れ。学徒出陣の学生のために東京音楽学校(現東京芸術大学)で第4楽章が演奏された▼戦地に赴く若者は、シラーの詩に込められた思いを知って聴いたのだろうか。それとも高揚感のある旋律に気持ちを奮い立たせたのだろうか。4年後の12月、今度は戦死した学生たちのために鎮魂の第九が奏でられた。これが「歳末恒例」の始まりという説もある▼震災で幕を開けた2024年。復興途上の被災地は再び厳しい冬を迎えている。数々のチャリティーコンサートで演奏されてきた第九はきっと困難に立ち向かう力をくれる。能登の方々が心の底から音楽を楽しめる日がくることを願う年の瀬である。
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