2024年12月7日付

2024/12/07 07:59
八面観

かわいらしい”森のくまさん”とはほど遠い。相次ぐ熊の出没。山が身近にある私たちは「またか」と思う程度かもしれない。ただ、忘れてはならない。熊は人間に危害を加える恐れのある「猛獣」▼報道によると、秋田市で11月30日、スーパーマーケットに体長約1メートルのツキノワグマが侵入、従業員が襲われて顔などにけがを負った。恐怖は想像に難くない。熊はその後も店内で”立てこもり”。肉売り場を荒らすなどして居座った。捕獲・駆除されたのは55時間後だった。何年か前には、伊那市の中心部にある店舗内に子熊が侵入した事例もある。決して人ごとではない▼捕獲の報道が出るたびに話題に上がるのが、駆除の是非を巡る議論。今回の秋田市でもご多分に漏れず、市と県に抗議の電話やメールが寄せられているという。大半が「なぜ殺したのか」「かわいそう」と市の対応を批判する内容。むろん、駆除に賛成派もいる。だが、少数派の声が大きくなるのが今の日本か▼最前線で駆除を担う猟友会。北海道ではハンターが住宅方向に発砲したとして、猟銃所持の許可を取り消され、裁判に発展した。自治体の要請を受けて駆除したにもかかわらず、行為を否定されてしまっては納得できるはずがない▼生息地に近い地域では避けて通れない人間と熊の問題。駆除について賛否は分かれるだろうが、一つだけ言えるのは「人命に優るものはない」。

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