2024年12月20日付

2024/12/20 08:00
八面観

「界隈」という言葉が今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれていた。特定の場所とその周辺を表現する「近辺」などと意味の近い言葉で、「上諏訪駅界隈の飲食店では」といった使われ方をする▼既存の日本語ではあるものの、近年はある分野や業界、趣味、関心、行動などで共通するグループを表す使い方もされるようになったため、新語として選ばれたようだ。新しい言葉や使われ方を積極的に取り入れる方針の辞書には採用している例もあり、三省堂国語辞典第8版には「ある分野(の人たち)」が2番目の意味として加えられている▼思い返せば、共通の性質を持つグループを表す言葉は「〇〇族」「〇〇系」「〇〇勢」「〇〇クラスタ」など、はやっては消えたり定着したりを繰り返している。中には聞いたことのない表現があるかもしれない▼近ごろはネット発の言葉が瞬間的にはやっては消えていくこともあって、それこそ「界隈」が違うと、流行語とされていても知らない言葉はまったく知らない-ということがよくある。近年の新語・流行語大賞のリストを眺めていて特にそう感じる▼どういうわけか人間は自分たちをグループ分けしたがり、さらに、既存のものとは少し違った言葉や使い方でそれを表現したがる動物のようだ。最近のスピード感から考えると、新年にはもう「界隈」に代わる新しい表現が生まれるかもしれない。

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