2024年12月22日付

2024/12/22 08:00
八面観

南箕輪村でレイナ・ミュージック・フェスティバルを見た。自分の経験と葛藤をさらけ出し、黒いアコースティックギターをかき鳴らして歌う伊東麗奈さん。生きづらさを抱え、傷ついている人たちに向けて「堂々と生きて」と語り掛ける姿は、まぶしく輝いていた▼麗奈さんは伊那市在住の19歳。男女双方に魅力を感じるバイセクシャルであり、自閉症の弟がいることを公言している。人間は十人十色。性的志向や障がい、病気があっても、それぞれの「好き」を大切にできる世界を願う。実行委員長として初めて開いたフェスは、偏見がなくならない社会への抗議と同時に、愛を信じて生きる決意を示した”約束の地”であったように思う▼会場の村民センターは約300の客席がほぼ埋まった。辰野町のライブハウスImageeを拠点に活動するteamKSCの仲間たちが演奏に加わり、麗奈さんのパフォーマンスを支えた▼歌の力で社会を変える。米国の公民権運動やベトナム反戦運動、日本の学生運動などと結び付いた1960年代のフォークソングを思わせる▼「たった一つの形にはめることのできないいろいろな人たちがいる。それぞれの目に涙を流した分だけいろいろな花が咲き誇りますように」(『IROIROいろいろ』)。自分の言葉と声で歌わずにはいられない衝動に触れ、差別や偏見に立ち向かう歌の力を信じてみたくなった。

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