2024年12月4日付

2024/12/04 08:00
八面観

「感動するものが、人に知られていないところが、またすごい」。北アフリカ・エチオピアの首都アディスアベバから北に空路で3時間40分、陸路で3日間、アムハラ州の標高2630メートルに位置するラリベラに岩窟教会群はある▼教会群は12~13世紀ごろ、原始キリスト教のコプト教(エチオピア正教)を他の宗教の侵略から守る目的で、人が一枚岩を手作業でくり抜いて設けた地下道でつながる11の聖堂や礼拝堂だ▼現地のガイド氏によると、延べ6万4000人が23~24年の歳月をかけて建造したとされる。地下道は全長300メートル以上あるとされ、内部には飲料用地下水もある。食料を備蓄して、扉を閉めることで外部との接触を断ち、信徒が他者の侵攻から身を守ることができる▼11棟のうち、高さ12メートルの聖ゲオルギウス教会は、外観が十字架の形で内部の彫刻も美しい。冒頭の「感動する…」は自らもクリスチャンで、一緒に旅した日本人男性が教会を見て口走った言葉。ふたりで教会横の岩場に腰を掛け、時間を忘れて見とれた記憶がよみがえる▼現在、同国内は政府と反政府勢力の間で紛争が続く。ラリベラが武装組織に占領されたことを受け、国際社会は教会群の保全を訴えた。教会群は信徒が一度は巡礼したいと願う聖地。エチオピア暦では来年1月7日にクリスマスを迎える。人々が穏やかに祈りをささげられる日になるよう心から願う。

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