2024年12月3日付

2024/12/03 07:59
八面観

来年、2025年は昭和100年に当たる。明治なら157年、大正なら113年、平成なら37年だから、比べてみると実に長い時代で、戦争と経済成長、文化の変革など激動といっていい昭和を改めて振り返る企画が各所で催されそうだ▼昭和元年の1926年は、日本のテレビの父と呼ばれる高柳健次郎博士がブラウン管による映像の伝送に成功、トヨタの起源である豊田自動織機製作所の設立など新技術への夢が広がる一方で、経済的には第1次大戦後の不況が慢性化して明るい時代とは言えず、翌年には昭和金融恐慌が起きる▼世界に目を向ければ、米国は空前の好況で「狂騒の20年代」の真っ最中だが、欧州ではファシズムが台頭し、イタリアのムッソリーニが一党独裁体制を確立した年でもある。中国では蒋介石が北伐を開始している▼やや横道にそれるが、来年100周年を迎える1925年の出来事を調べてみると、NHKラジオ放送開始、JTB時刻表の発行開始と、メディアや交通の発達の兆しが表れているのも興味深い▼昭和金融恐慌と続く世界大恐慌で国内の製糸産業も大打撃を受け、疲弊した農村から満州への移民が進むことにつながっていく。長野県も不況から抜け出すために積極的に入植を進め、全国最多の移民を送り出した。新しい年は、昭和から現代につながっていること、変わってしまったことを振り返る年になりそうだ。

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