2024年11月29日付

2024/11/29 08:00
八面観

「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」-。この半年間、50年以上前の交通安全標語が時折頭に浮かんだ。中央道、長野道の大規模リニューアル工事。5月の連休明けから始まり、ようやく本日で一区切りとなる▼出張が多い仕事柄、頻繁に高速道路を利用する。夏には休工期間もあったが、岡谷ジャンクション周辺の車線規制には悩まされた。渋滞につかまるたび、はやる気持ちを抑えるのに苦労した。混雑を避けるつもりで高速を降りたら、結局峠道が渋滞していたことも▼追突や車線変更に伴う事故も頻発。規制開始から10月末までに渋滞が原因とみられる事故は80件以上発生し、8月には痛ましい死亡事故も起きた。30日から3日間は夜間通行止めとなり、工事は休工を挟みながら2029年まで続く。今後も運転には注意が必要だ▼ずいぶん愚痴っぽくなってしまったが、交通インフラ整備の重要性は言うまでもない。まだ長野道が開通していなかった40年ほど前、北信方面に出向くのはかなりの長時間ドライブだった記憶がある。今は長野市まで1時間余り。少しくらいの渋滞は大目に見よう▼利益の享受が当たり前になると感謝の気持ちは薄れがち。高速に限らず、道路工事は日常の大切さに気づくいい機会だ。渋滞や迂回にいらいらしても仕方がない。50年前どころか約500年も前に連歌師の宗長はこう説いている。「急がば回れ」と。

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