昨冬、諏訪湖畔に国天然記念物の野鳥ヒシクイが3羽飛来した。シベリアからやってきて、多くは日本海岸沿いで羽を休めるから内陸で見るのは珍しい。越冬となると昭和以降、初めてだったそうだ▼仲間とはぐれたのか。いつも身を寄せて離れずに過ごす様子は心細げだった。本来、ヒシクイは群れで長距離を渡る。きれいなV字編隊で先頭の一羽が進路を定め、風を切り開く。風の抵抗や外敵から身を守る術なのだろう。時折先頭を交代しながら失速せず進む▼繁殖の地では個々に広い縄張りを持つが、飛行の時には集団となって渡りの成功率を上げる。政治も似ているか。数で決する世界にあって、集団の力に頼るのは長年培った経験則で必要素、ある引退議員がメディアで「派閥は自然に、またまとまる」と話していた▼長期の安定飛行に先立つカネの話で激震の国政に、「中小企業のコストダウンも限界。給料を上げたくても原資がない」、「一人親でも補助金に頼らず、フルタイムで懸命に働いて子どもを養う人たちが救われない」と各所のひずみで上がる悲鳴は聞こえているか▼ヒシクイの群れは皆、同じ先を見据えて空を行く。議席を求めて闘う政治家諸氏も最後に向かうのは一つところと願いたい。落ち穂一本も大切に集め、一個の部品を生み出すことに心血を注いで糊口をしのぐ市井の苦労が報われますように。その思いを票に込める。
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