2024年10月5日付

2024/10/05 07:59
八面観

「出世したいと思わない」社会人1年生44%、2年生53%―。ソニー生命保険が行った「社会人1年目と2年目の意識調査」。こんな若手社員の仕事観に目が留まった。出世欲の低い若者が増えているようだ▼最近の若い者は│と言いたい向きもあろうが、そう単純な話ではなさそうだ。分析した専門家は「出世した上司が幸せそうに見えない」「所得以上に業務量やストレスが増える」「プライベートが犠牲になる」などの見方を示し、出世や給料アップよりもワークライフバランス(仕事と生活の調和)を大切にする人が増えているようだと指摘していた▼若い社員は上司に自分の将来を重ね合わせて見ているのだろう。昨今の人手不足や働き方改革のしわ寄せが管理職に来ているという見方もある。若者の意識に影響を与えているかもしれない。いずれにしろ優秀な社員が出世を望まないということになれば会社の将来に関わるし、そもそもそんな会社に人材は集まらないだろう▼先月、伊那市で開かれた男女共同参画セミナーでパネリストを務めた地元寒天メーカーの関係者は「企業の存在価値は社員の幸せのため」と語った。理想的な考え方かもしれないが、それをブレずに実践していることに感心する▼このメーカーのようにはいかないまでも社員が幸せを感じられる会社や職場をどうつくっていくか。そうでなければ若者たちに背を向けられる。

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