2024年7月17日付

2024/07/17 08:00
八面観

体よりも大きなランドセルを背負い、学校へ向かう小さな背中。子育てをされた方であれば、成長の喜びと事故などへの不安が入り交じった思いで見送った覚えがあるのではないか▼通学の安全が脅かされている。交通事故、見知らぬ大人の声掛け、付きまとい―。岡谷市でも女子児童が男に連れ去られそうになる事件が起きた。防犯ブザーや大声で抵抗し事なきを得たというが、大人の目が届かない所で怖い思いをしたと思うと心が痛む。県警は事件を受け、子どもの安全確保のための緊急対策として、児童の見守りなどを強化している▼警備会社ALSOKによると、登下校や外出時に怖い目に遭ったことがある児童は約70人に1人。「しつこく話しかけられた」44.5%、「どこかへ連れていかれそうになった」24.4%など。この数字をどう捉えるか▼護身など、自衛策を指南する専門家もいるが、実際の場面では大人でも危険で難しい。かつて訪れたスリランカでは、学校は保護者と登下校するのが一般的で「子どもを一人で外出させるなんて考えられない。虐待と言われかねない」と指摘された▼主要な交差点に立ち、日々子どもの見守りに尽力される方には頭が下がる。ただ人口減もあり、かつてより子どもに地域の目が届かないのも田舎の現状。地域であの小さな背中をどう守るか。身の回りの治安の検証も含め、抜本的に考える時ではないか。

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