2024年5月19日付

2024/05/19 06:00
八面観

12日付「こども日報」の新語を解説するコーナー「ことばナビ」で「タイパ」という言葉が取り上げられていた。「タイムパフォーマンス」の略語で、「若い世代を中心に、かけた時間に対するメリットや効果を重視する風潮が広がっています」という▼費用対効果を表す「コストパフォーマンス」からの連想で使われるようになったとみられる。「映画やドラマを動画配信サービスで見る時も、再生速度を1.5~2倍に上げる『倍速視聴』で楽しむ人が増えています」とのことだ▼ストーリーだけ分かればいいということならそれも良いだろうが、制作者からしてみれば、その映像を味わうのに必要な長さだと考えるから手間暇をかけて作っている。あるいは俳優は、ほんの少しのせりふの間の長短に神経を使いながら芝居をしているのだから簡単に倍速されてしまうのは切ないことだろう▼とはいえ、あふれる情報に溺れそうな現代では、無理もない行動なのかもしれない。タイパの良いメディアと言えば実は新聞もそうなのだ。ざっと見出しだけ目を通して興味のある記事を探すことができるし、「リード」と呼ばれる第1段落だけ読めば概要は分かるように書かれている▼もう少し詳しく知りたければ次の段落、さらに知りたければ次の段落-と読み進めることができるよう「逆三角形」の文章を記者は執筆している。ぜひ若い人にも親しんでほしい。

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