2024年5月11日付

2024/05/11 05:59
八面観

延々と続く車の列。代わり映えしない車窓の景色にため息が漏れる。事故や工事、車両数によって引き起こされる高速道路の渋滞。あらがえない事態だと頭で理解していても、心穏やかではいられない▼「これじゃ低速道路」「料金を安くして」。大型連休中に混雑する高速道路で、こんな愚痴をこぼした人もいたのでは。中日本高速道路は、通行料金を「高速道路を利用いただいたことに対する対価」と位置付け、「所要時間の保証という性格を含んだものではない」との見解を情報サイトで示している▼隙間ができれば「少しでも前に」と車線変更を繰り返すドライバー。後続の車両は慌ててブレーキを踏むことになり、いら立ちに拍車を掛ける。道路の合流地点では自分の前に車を入れさせまいと車間と詰めて徹底ブロック。道路でいじらしい攻防戦を重ねても事態は改善しない▼「渋滞学」を提唱する東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授は渋滞を起こさない運転のポイントとして40メートル以上の車間距離やスムーズな減速、加速などを挙げる。ブレーキの連鎖が渋滞を招くメカニズムに注目。ブレーキペダルを多様しない安全運転を勧める▼加えて周囲の車に減速を強いるような身勝手な運転を控えることも重要という。自分の車も車群を構成する1台。「渋滞を起こさない運転」を実践することで、渋滞緩和に貢献する心の余裕を持ちたい。

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