もうだめだ―。その瞬間、体は固まり、思考もほぼ止まった。4年前、中央アルプスの登山道。前方20メートルほどか。木陰から黒い塊がこちらを見据えている。先ほど見つけた糞は、やはり熊のものだったか。心身が絶望感に支配された▼友人と、何分にらみ合っただろう。動かぬ影に意を決して目を凝らすと、黒い塊は切り株だった。何とも情けない話だが、全身の力が一気に抜けるようにほっとした。実際に熊に遭遇したことはないが、“その時”には逃げるどころか、何もできないことを思い知った▼環境省が、ツキノワグマとヒグマを「指定管理鳥獣」に指定した。県などの捕獲や調査の費用を国が支援する。熊は繁殖力が低いため保護の対象だったが、近年は個体数が増えていると推計され、人里への出没も増加。昨年は19都道府県で、死者6人を含む過去最多の219人が被害に遭った▼県内でも昨年の目撃情報は1407件に上り、昨年10月には飯山市で高齢男性が襲われて亡くなった。南信でも伊那市を中心に目撃情報が相次ぎ、人的被害も出た。学習放獣では効果に限界がある―。地域からは切実な叫び声が上がる▼国に次いで、県もツキノワグマ保護管理の内容を見直す方針を示した。人的被害が出ている以上、市町村も含め、踏み込んだ対策が求められる。春が訪れ、また熊の目撃情報が出始めた。山菜採りなどで山に入る際には、ご注意を。
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