里山を彩った桜が終わり、いよいよ山菜の季節である。長く厳しい信州の冬を乗り切ったと確信するのはこの頃で、目で見る春の美しさに飽き足らず、味覚を通して生命の息吹を感じたいと思う▼見渡せばフキノトウ、セリ、ウド、タラの芽、コシアブラ…。春から初夏に出る山菜にはほのかな苦みが伴う。その正体はポリフェノールで、動物や虫を寄せ付けない効果があるそう。人間が適度に食せば新陳代謝や血行の促進に作用する。冬の体を目覚めさせてくれるものだと、昔の人たちは経験で分かっていた▼深山(しんざん)のコゴミに目がない。それも、雪代水がごうごうと音を立てる渓流で出合う新芽は絶品だ。わずかな木漏れ日を頼りに伸びたきゃしゃなコゴミを、さっと湯通ししてかつお節としょう油でいただく。遠いところをほろ苦さが通る。地酒があればなお良い▼いよいよ夏が目の前である。「卯の花の匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす夏は来ぬ」。明治から歌い継がれてきた唱歌の名曲は、「日本の歌百選」として親しまれる▼日々の生活に寄り添う歌の誕生に貢献したのは、伊那市高遠町出身の伊沢修二だった。旧文部省の留学生として西洋音楽を持ち帰り、小学唱歌集を編集する。留学時代の伊沢は音楽の成績が悪かったが、授業免除を拒んで唱歌を学んだ。伊沢の音楽は自然と生きる喜びや、苦難を乗り越える勇気にあふれている。
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