2024年4月14日付

2024/04/16 05:59
八面観

冬の朝、車で出勤途中、東に顔を向けると、目の中に水平かと思わせる角度で陽光が飛び込んでくる。同じ時間帯でも徐々に日が高くなり、視界を遮るまぶしさは和らいだ。春の訪れを実感する▼春といえば桜が思い浮かぶ。住居の隣接地に約30本が立ち並び、シーズンには行き帰りに眺めては一人花見としゃれ込んでいる。各地に植わるソメイヨシノはほとんど、1本の原木から接ぎ木などで増えたクローンで、遺伝的に共通のために気象条件などが同じ地域では一斉に咲いて散るのだとか。こんなところにも桜に興味をそそられる▼毎年この時期には、長野日報本社の社員通用口にツバメが巣を作る。数日前、帰社すると、頭上を舞う姿に出くわした。今年も子育てを始めるのだろう。早いものでもうそんな季節なのか▼わが家では今冬、高騰する電気代などの節約のため、暖房を極力抑えた。部屋でも重ね着、手袋、ニット帽。いわば”お家でウォームビズ”。何とか乗り切り、3月の声を聞いてやれやれと思ったものの今年は3月も寒かった▼温暖化が叫ばれ始めた頃からか、日本の美点とされる四季や季節感が薄らいでいると思えてならない。春と秋がどこかに押しやられ、冬が去ったかと思うと夏が到来し、夏が過ぎると突然の冬…。厳しい寒さとうんざりする暑さのはざまの、つかの間の貴重な今この時。短命さも魅力の桜の花と共に楽しみたい。

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