次のページをめくるのがもったいない。そんな気持ちで本を読んだのはいつ以来だろうか。物語の展開に心を躍らせて気がはやり、けれど終わりが惜しくて一字一句を熟読した幼い日の記憶をたどる▼茅野市の今井書店店主、髙村志保さんの著書「絵本のなかへ帰る」は、例えるならば「手作りチョコレート」か。31冊の絵本を主題に自身の幼少の思い出や日常をつづったエッセーで、丁寧に練り込んだ言葉は純で澄んでいて甘く、ほろ苦く、残る香りが心地いい▼読み手は子どもの頃を思い出す。宝物だとしまい込んで入れ物ごと存在を忘れていた石ころに光が当たったような愛しさが湧いてくる。髙村さんは物心がつく前から、身の回りのことや自分の心とじっと向き合って思考を養ったのだろう。その核に本、物語がある▼学校教育で新聞活用を進める教職員の会合で、「今の子どもたちは長文を読むのが苦手」という指摘があった。本はもちろん、小欄ほどの長さの文章は既に論外だとか。インターネット上にあふれる情報も画面を動かさなければ読み切れない長さは「無理」となる▼髙村さんは「物語の読める子どもに育って」と願う。怖さや悲しさを味わい、最後は知恵と勇気で勝って家に帰る。そんな幸せな結末の物語が心に根付いた子どもはきっと強い-とも記す。「本とは誰もに等しく注ぐ愛」。受け入れるお皿を育むのが物語だという。
購読残数: / 本
⻑野⽇報社からのお知らせ
フォトサービス
紙⾯に掲載された写真を有償で提供しています
第50回信州書道展 紙面PDF
長野日報の紙面PDFをご覧いただけます
諏訪湖マラソン…外部リンク
毎年10⽉開催の諏訪湖⼀周のハーフマラソン
第36回諏訪湖マラソン記録
⻑野⽇報の紙⾯PDFをご覧いただけます
⻑野⽇報ご購読
こちらから⻑野⽇報のご購読を申し込めます
⻑野⽇報就職研究会…外部リンク
「就職はふるさとへ」と考えている学⽣のみなさんへ
長野日報社 社員募集
2025年4月入社の社員を募集します
週間ランキング
晴れやか巣立ち 諏訪地方6高校で卒業式 伊藤さん、スキーのナショナルデモンストレーターに 諏訪大社宮司に村上氏 駒ケ根の日の出町商店街にパン専門店オープン 179チーム伊那路快走 春の高校伊那駅伝 高遠桜ヘリコプター遊覧復活 4月5~13日運航 市町村またぐバス路線 県が独自制度で支援へ 上川河川改修に着手へ 川幅広げ堤防かさ上げ 3歳未満児対象の保育園 諏訪市中洲に4月開園 科学の甲子園、総合2位 清陵高2年生8人日付で探す