2025年2月14日付

2025/02/14 08:00
八面観

「バレンタインデー」は伝統の風習ではないけれど、多くの人が知るおなじみのイベント。店の特設コーナーも多くの客でにぎわう。意匠を凝らした品々は見ても楽しく、皆、選ぶのにお悩みの様子▼そのほほ笑ましい光景は昭和の時代から変わらないが、買い方はかなり変化したとみえる。かつては、仕事先や友人らへの心遣いに「義理チョコ」とおぼしきを山と買う人が多くいた。片や「本命」には、一粒千円もするような高級チョコが飛ぶように売れていた▼ひと昔前の対面か電話でしかつながれなかった頃と違って、いつでも多様にコミュニケーションが取れる今、思いをチョコに全力で託す必然も薄れたようだ。義理と本命の勘違いも怖いし、何より値上がりで懐が痛い。どうかお互いさまで-と割り切った感もある▼とはいえ、日ごろの感謝の思いを伝えるのには、ほど良く気軽で良い機会。親しみを込めやすいから昔ながらの歳暮、中元よりむしろ身近な贈答慣習と思う人も増えているかもしれない。人付き合いが薄れがちな昨今、形は何であれつながりを大切にする心は尊い▼ただ、カカオ産地の現況は芳しくない。異常気象で作柄悪化、金鉱掘削で農園破壊もあり収穫が減少しているという。子どもの労働搾取も依然深刻で、置かれた状況が一層過酷になっていまいか案じられる。きょうの一粒に込める愛をちょこっと産地にも向けたい。

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