貸し靴券を担当者に手渡し足のサイズを告げると目の前にはフィギュアスケート。いつもなら素直に受け取るが、その日は無性にスピードスケートを履きたくなった。茅野市国際スケートセンターには老若男女が集まっていた▼子どもの頃、スケート靴と言えばスピードスケートが当たり前だった。買ってもらったのか、おさがりだったのかは定かではないが、自分のスケート靴があったことが少し誇らしかった。クラブに所属していたわけではなく、競技レベルは高くなかったが、陸上では感じられないスピードを氷上でなら味わえた。夜の駒が池では右横を隊列を組んで滑走する同世代の子どもたちがいた。羨望のまなざしを向け、見よう見まねで練習した▼おそらく筆者は駒ケ根市中沢小学校の校庭リンクで滑った最後の世代。大人と滑った思い出もあれば、水に漬かったままの校庭でゴムボートに乗った記憶もある。校庭リンクができないことが当たり前になり始めていた▼スケートは氷があってこそ成り立つ。滑れる環境が失われたその先にスケートの文化は歴史となり、記憶となる▼スケートセンターで知り合いの子が声を掛けてくれた。「ねえ一緒に滑ろうよ」。転んでも何度も立ち上がり「あの人上手だね」と言いながら前を向くその子の姿に幼い頃の氷上の景色が重なり合った。新春最後の休暇は暖かな日差しとともに思い出の中を滑っていた。
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