茅野市蓼科の山荘を夏の仕事場とした脚本家、山内久さん(1925~2015年)は、19歳の時に出征した中国で生きた人間を殺す訓練を経験した。自分はこんなことをしていいのだろうかと思いながら、お国のため、家族のことを考え、罪もない中国人男性の命を絶った▼敗戦後は東京外国語大学から松竹に入ってシナリオを書き始め、9年後にフリーになる。戦後の高度経済成長期を懸命に生きる5人兄妹を描いた「若者たち」、中央アルプスで起きた学校登山の集団遭難を題材にした「聖職の碑」など、人間の本質に迫る映画やテレビドラマを手掛けた▼ひとたび戦争となれば、目の前に立ちはだかる生命を皆殺しにする蛮勇を強いられる。人間の残酷さを身をもって知った山内さんは「人間は戦争が好きなのだ。進化しきれない猿なのだ。そのことを肝に叩き込んで、今後も書き続けなければ」(『小自分史』)と記した▼「若者たち」で田中邦衛さんが演じた長男太郎は、土建会社で必死に働いて弟や妹を養った。学歴社会で出世は遠回り、婚約者も去る屈辱の中、弟に「大学に行け」と詰め寄る。カネに執着する太郎の前で、山本圭さん演じる大学生の三郎はバイト代を燃やし、「カネより強いんだ人間は」と訴える▼正月3日に20歳のつどいを取材して思い立ち、絶望と後悔に打ちひしがれても前を向く若者たちの群像劇を改めて見直した。
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