富士見町松目出身の報道写真家、樋口健二さん(87)の写真展「諏訪湖(すわのうみ)と私」が下諏訪町の諏訪湖博物館・赤彦記念館で開かれている。美しく輝く諏訪湖のカラー写真を中心に二十数年かけて撮影した約70点を初公開した▼20万人弱が暮らす諏訪には、諏訪湖という”山紫水明度”を映す鏡がある。精密機械工業が発達して「東洋のスイス」ともてはやされたが、戦後の高度経済成長と人口増で工場や家庭の廃水が一気に流れ込んだ。昭和40年代に入ると、自慢の鏡はドロドロの緑色に汚れてしまった▼「諏訪湖のタニシから重金属類を検出」。昭和43年秋、衝撃の調査結果が発表された。調べたのは岡山大学の小林純教授。かつてイタイイタイ病の原因を究明した老学者だった。巨額の事業費を前に足踏みしていた浄化対策が本格化し、県も下水道事業に乗り出す。公害は人間をむしばむ前に食い止められた▼60年余のキャリアを持つ樋口さんは「売れない写真家」だった。四日市公害、放射線被曝に苦しむ原発下請け労働者、東京電力福島第1原発事故で故郷を追われた人たち…。繁栄する社会の底辺で差別され、搾取されてきた民衆を記録し続けた。3・11後、その仕事が再評価されたことは言うまでもない▼樋口さんは表と裏、光と影の両方を知る必要を説く。写真の諏訪湖はひときわ輝いて見える。23日には同館で報道写真家、石川文洋さんと対談する。
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