2024年6月28日付

2024/06/28 06:00
八面観

「ブラックホールに対するなら、ホワイトホールを考えないといけない」-。民間の有識者でつくる「人口戦略会議」が、出生率が低く、他地域からの人口流入に依存している自治体を「ブラックホール型自治体」としたのに対し、ある県の知事がこう述べたという(文春オンライン)▼ホワイトホールはブラックホールの反対と考えられている存在で、実在するかどうかは分かっていない。どのような意味で引き合いに出したかははっきりしないが、ブラックホール型とされた25市区町村のうち、16は東京23区。人口減少に歯止めがかからない中、東京への過度な集中の解消が必要という問題意識からだろう▼その東京では都知事選の真っ最中。ポスターの掲示板を巡る問題が話題を集めたが、それは都民の良識に任せるとして、注目すべきはやはり少子化の問題だろう。昨年の東京の出生率が0.99となり、全国で初めて1割を割り込んだという発表もあったばかりだ▼ブラックホールと名指しされるまでもなく、東京一極集中の解消はこれまでも大きな課題として指摘されてきた。ただ、現在の同じパイを奪い合っているような状況では先細りしかない。パイ全体をどう大きくしていくか▼その意味で都知事選は決してひとごとではないだろう。候補者にはぜひ政策を競ってもらい、当選したあかつきには日本全体の底上げを図る気概で取り組んでほしい。

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