伝統ある日本の絹文化の継承と未来への発信を目指す「日本絹文化フォーラム2024」が15日から、岡谷市のカノラホールなどで2日間の日程で始まった。今年迎える岡谷蚕糸博物館(同市)の開館60周年・リニューアルオープン10周年記念事業の第1弾として、「日本の色を引き出す糸の力」をテーマに開催。初日は専門家の基調講演、染織家によるパネルディスカッションを繰り広げ、県内外の約150人が聴講した。
製糸業で隆盛を極めた同市、同博物館、NPO法人シルク文化協会などでつくる実行委員会が主催。基調講演では、きものジャーナリスト中谷比佐子さん=東京=が「日本人の色と糸」と題し、美しい色彩を引き出す絹糸について話した。
ステージには日本茜、紫根など日本古来の植物で染めた着物を展示。塩漬けした繭糸を使った生地もあり、「光沢や染め色の吸収に優れる」と中谷さん。先人が築いた素晴らしい技法を残していきたいと伝えた。
講演に続いて、染色作家の髙橋孝之さん=東京=、京鹿の子絞りの寺田豊さん=京都府=、西陣織の伝統技法「爪掻本綴織」の服部秀司さん=同=が活動事例をそれぞれ発表。パネルディスカッションもあった。
フォーラムは今年6回目。開会のあいさつで原田尹文実行委員長は「シルク文化を絶やしてはならない。関係者の皆さんの力を借りてつなげていきたい」と述べた。
16日は諏訪地方の近代化産業遺産を中心に、同館や旧山一林組製糸事務所、片倉館などを巡る見学会を開く。
岡谷蚕糸博物館は1964年10月に同市本町に開館し、2014年8月に同市郷田でリニューアルオープンした。
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