諏訪地方観光連盟は14日、富士見町と原村を主要ロケ地として撮影され、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受けた映画「悪は存在しない」を「諏訪シネマズ」に認定した。出演俳優の小坂竜士さん(38)が諏訪市役所を訪れ、金子ゆかり会長(諏訪市長)から認定証を受けた。「誰一人欠けても成り立たない、素晴らしい現場になった。最高の環境を用意してくれた諏訪の皆さんに感謝したい」とする濱口竜介監督のメッセージも読み上げた。
2町村で昨年2~3月に撮影された。地元エキストラとして延べ100人が協力。諏訪地域にとって特別な作品として、7作目となる諏訪シネマズに認定した。認定式で金子会長は「歴史に残る、後世に伝わっていく素晴らしい映画が諏訪地域で撮影されたことをうれしく思う」とあいさつした。
映画で「高橋」役を演じる小坂さんは「氷点下10度は体にこたえたが、富士見町、原村の冬の空気は神聖な感じがした」と振り返り、「地元の方を含め皆で撮った作品。映画に関わった一人ひとりの仕事のたまもの。多くの人に観てほしい」と語った。濱口監督はメッセージの中で「地元の皆さんに多大な協力をいただき完成した映画。『諏訪シネマズ』認定をいただくことを心よりありがたく思っている」と喜びを表した。
岡谷市中央町の映画館「岡谷スカラ座」では同日、「悪は存在しない」の上映会と出演した俳優の小坂竜士さんによる舞台あいさつが行われた。小坂さんがこの映画に出演したきっかけや濱口監督とのやりとりなど、映画の裏側を語った。
小坂さんは2012年から俳優として活動していたが、近年は活動を休止。濱口監督の前作「ドライブ・マイ・カー」にスタッフとして関わり、濱口監督からライブパフォーマンス用の映像作品として撮影する予定だった、今作の出演オファーを受けた。
多くの住民エキストラが出演したグランピング場建設計画の住民説明会の場面では「エキストラとして出演してくれた皆さんが、あの場面の空気感を作ってくれた」と語り、”濱口メソッド”と呼ばれる濱口監督の演技指導の様子を話した。
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