朗読劇「しゅらのおかっさ島田まげ」を稽古する「葉桜」の会員たち

朗読の魅力伝えたい 4月設立駒ケ根市中沢の「葉桜」

2024/06/14 06:00
文化

駒ケ根市中沢地区の住民有志が今春立ち上げた朗読の会「葉桜」(会員8人)が15、16の両日、中沢公民館で旗揚げ公演を行う。中央アルプスの雪形「島田娘」を題材にした創作民話や宮沢賢治作の紙芝居を朗読劇として上演。文字を声に出して読む朗読ならではの魅力を観客に伝える。

 

■高齢化進む地域 健康や生きがい

 

葉桜は、市民ミュージカルなどに出演し演劇経験が豊富な中山教保(みちほ)さん(63)=同市中沢中割=が、朗読を通じて表現力を高め、高齢化が進む地域での健康づくりや生きがいづくり、さらには活性化にもつながればと、今年4月に設立した。毎月例会を開いて朗読を学ぶほか、地元の昔話や民話、同公民館文集「谷あいの聲(こえ)」の作品などを題材にした朗読劇を年1回上演し、地域への出前公演も構想している。

 

立ち上げに当たっては、朗読を始めたい人や学びたい人に声を掛けたところ、地元の60~70代の女性7人が集まった。読み聞かせなどの経験がある2人以外は朗読初心者だったが、旗揚げ公演は約2カ月後と決まっており、4月下旬の初顔合わせの後、すぐに稽古に取り掛かった。

 

■解釈や読み解き 発声方法など学ぶ

 

演出はNPO法人アクターズゼミナール伊那塾理事の坂井宏光さん(60)。時間的余裕がない中、坂井さんから表現の裏付けになる物語の解釈や読み解き方を学び、朗読に必要な発声方法や体のほぐし方なども身に付けた。

 

知り合いの中山さんから声を掛けられ、朗読劇に初挑戦している木下君子さん(73)=同市中沢下割=は「年齢に関係なく輝けたらうれしいと思って参加した。今では稽古が終わると知らずに汗だくになっているほどで、病みつきになりそう」と意欲的。演出の坂井さんは「皆さん声が素晴らしい。一人ひとりの人生を感じるし、中沢の歴史が詰まっている」と称賛する。

 

■宮沢賢治掌編と「島田娘」の民話

 

旗揚げ公演は2部構成で、第1部がメインの朗読劇。宮沢賢治の掌編童話を紙芝居にした「畑のへり」(作画は中山さん)は、畑のトウモロコシをカエルの視点から眺めた話で、カエルの鳴き声などを表現しながら読み進める。

 

「しゅらのおかっさ島田まげ」は、昔ばなし調の素朴な言葉で紡いだ創作民話絵本(作・松村満久、絵・須澤重雄)を朗読。熊撃ちの猟師とその息子が伊那谷の厳しい自然の中で生きるさまを、メンバーらが身ぶり手ぶりを交え、時には立ち上がったり、鈴や太鼓などを鳴らしたりしながら演じ、「島田娘」と絡めた感動のクライマックスを立体的に盛り上げる。

 

第2部は中山さんと友情出演の伊東初絵さんが二人芝居「葉桜」(作・岸田國士)を上演。昨年6月に2人が演じた舞台の再演となる。

 

中山さんは「この朗読劇を通じて、中沢という場所の良さや温かさなどが伝わればうれしい」と話している。

 

入場無料。全席自由。公演は15日が午後7時、16日が午前10時30分、午後2時の計3ステージ。駐車場に限りがあるため、乗り合わせでの来場を呼び掛けている。問い合わせは中山さん(電話090・4181・8262)へ。

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