日本野鳥の会諏訪支部名誉支部長の林正敏さん(80)=岡谷市川岸東=が所蔵し、国立科学博物館(茨城県つくば市)に寄贈する予定の鳥類標本など約3000点を並べた展示会が、原村の八ケ岳美術館で開かれている。「世紀を超えた鳥類標本の全容」と題し、明治末期から大正期に収集されたライチョウをはじめとする貴重な鳥類の剥製などを紹介している。7月7日まで。
林さんが自宅で45年間保存してきた標本は、鳥類の剥製242種2391点、鳥卵の標本550点、小型獣類の剥製12種59点、生態画の掛け軸1点など。学術標本としての価値が認められ国立科学博物館への一括寄贈が決まり、事前に多くの人に見てもらおうと展示を企画した。
鳥類標本は、当時の農商務省の鳥獣調査員として研究のため鳥を捕獲した松本市の高山鼎二と長男の忠四朗が集めた「高山標本」、上諏訪町長を務めた金井汲治と長男で戦後初の諏訪市長を務めた清が集めた「金井標本」。高山標本は忠四朗から寄贈され、金井標本は諏訪教育会館で保管されていたものを引き取った。
展示会場には鳥の剥製がずらりと並び、鮮やかな色彩、柔らかそうな羽毛、大きなくちばし、どう猛そうな足などを間近で見ることができる。北アルプスのライチョウ9点、1893年に上諏訪町湯の脇で採集したオオワシをはじめ、メグロ、カラスバトなど国天然記念物や絶滅危惧種となった鳥類の剥製もある。大正時代から戦後にかけて活躍した鳥類画家・小林重三が県内の希少な鳥を描いた掛け軸も展示している。
林さんは「くちばしと足を見れば、その鳥がどんな生き方をしたか分かる。屋外ではなかなか見られないので、この機会に細かく見てもらえたら」と話している。
22日は信州大学の笠原里恵助教(鳥類学)、7月4日は林さんの講演会がある。予約が必要。申し込み、問い合わせは八ケ岳美術館(電話0266・74・2701)へ。
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