茅野市と学術協定を結ぶ国立国語研究所(東京都)は、太陽の黒点観測を続ける諏訪清陵高校天文気象部や60年以上の長きにわたり太陽観測を続けた藤森賢一さん(89)=諏訪市小和田=をモデルにしたプラネタリム番組を制作した。11日に茅野市の八ケ岳総合博物館で完成披露試写会を行い、藤森さんの家族や天文気象部員ら約30人が鑑賞。大学などの研究機関に所属せずに研究を行う「市民科学者」の功績を見詰め直した。12日から同館で一般公開する。
作品のタイトルは「あの夏の太陽が教えてくれたこと」。諏訪清陵高天文気象部をモデルにした「清水ケ丘高校天文部」の部員4人が、太陽観測を60年以上続けてきたベテラン観測者の藤森賢一さんと出会い、黒点観測の意義を見詰め直していく物語。太陽の表面温度約6000度よりも2000度ほど低いことから黒く見える「黒点」の観測方法や長期の観測記録が太陽の研究に役立つ理由などが爽やかな青春ストーリーの中にちりばめられている。
作中には諏訪清陵高の前身、旧制諏訪中学の教師で地理の研究者だった三澤勝衛(1885~1937年)が残した1921~34年の黒点観測記録、藤森さんの65年分の観測データを基に諏訪清陵高天文気象部が解析、作成した時系列で見た黒点の出現緯度の分布図「蝶形図」が登場する。上映時間は23分。
試写会に参加した藤森さんの長女、宮坂みゆきさん(62)=諏訪市高島=は「太陽が大好きでずっと続けてきた観測が若い世代の学びに役立ち、天文に興味を持つきっかけになるのであれば、父もきっと喜ぶ」と話した。藤森さんの観測データの正確性の高さを検証した同高3年の生徒(17)は「藤森さんの観測データの密度はすごい。三澤先生から続く黒点観測の大切さを学び、うれしくも思った。多くの人に見てほしい」と語った。
一般公開は9月29日までの土曜祝日で午前9時30分、11時30分、午後2時30分の3回。事前予約が必要。入館料のみで鑑賞できる。問い合わせは同館(電話0266・73・0300)へ。
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