太平洋戦争の学童疎開を縁にして東京都世田谷区二子玉川地区と交流する中川村の関係者は29日、同地区で開かれる「二子玉川花みず木フェスティバル」に初めて参加する。村の物産展を行い、中川西小学校6年生は5年生の時に手掛けた米やアイスなどを販売。子どもたちはチラシやポスターも手作りして「より絆を深めたい」と意気込む。関係者は交流をさらに進めることで、苦難に耐えた戦争の歴史を風化させることなく次代につなげたいと期待する。
戦火を逃れて1945年に二子玉川小(当時は二子玉川国民学校)の児童は、中川西小(当時は片桐国民学校)に疎開。2013年に両地域や小学校同士の交流が復活し、終戦70周年の15年には中川西小に学童疎開記念碑が建立され、より一層相互の関係を深めていこうと「二子玉川小・中川西小交流協議会」も発足した。
ハチミツやイチゴなど村の名産を販売する今回の物産展に向けて、中川西小の6年生は協力して準備。丹精して育てた米や、それを原料にした「西小アイス」を出品する。6年生19人を代表して会場に出向き販売やPRを行う児童会長(11)は「たくさん売って、二子玉川の皆さんとより親しくなりたい」と目を輝かす。
6月には交流復活のきっかけとなった村の中川人形浄瑠璃が二子玉川小で「里帰り」公演も行う。終戦時に「疎開のお礼に」と同小の保護者が、人形の頭7体と衣装を人形芝居の伝統があった村側に寄贈。その後50年間にわたり途絶えた人形浄瑠璃だが、2013年に二子玉川側を招待して公演を行い再興を果たした。
現在も村で行う人形公演には毎年招いているが、今回のフェスティバルや里帰り公演で村から二子玉川に出向くことで、関係構築も新たな局面を迎える。協議会事務局を務める同村の桂川雅信さんは「交流を深めることで、学童疎開という歴史的な事実を未来へと伝えていきたい」と話す。
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