茅野市は1日夜、AI(人工知能)活用の乗り合いオンデマンド交通「のらざあ」の運行車両について車いす対応車を2台導入し、導入車両を活用して即時配車などの実証実験を行う考えを市新地域公共交通検討会議に提案した。これに対し、のらざあの運行を担うタクシー事業者からは、のらざあより利便性が高いタクシーの優位性がそがれ、乗務員の精神的、肉体的な負担増になりかねないことなどから異論が噴出。車いす対応車両の2台導入のみ了承することで決着した。
のらざあは現行8台で運行しているが、利用者の増加や特定の時間の予約集中などにより、乗車希望者が希望する日時の予約が取れない「予約不成立」の増加が課題となっている。2台増台はこうした課題の解消が目的。今年度一般会計に予算計上している。
車いす対応車の提案は、市民活動団体「茅野市の21世紀の福祉を創る会」が市内の障害者手帳所有者2707人を対象に実施したアンケート結果を踏まえた要望を反映したもの。体が不自由で一般の交通機関を利用して外出することが困難な市民向けには、市社会福祉協議会がタクシー事業者に委託して実施している移送サービスがあるが、市はのらざあを障がいの有無にかかわらず、誰もが希望すれば乗車できる公共交通にしたい考えだ。
車いす対応車両の導入については了承されたが、市が提案した運行形態については、事業者側との間で意見の隔たりが埋まらなかった。市は現状で自宅近くの「仮想停留所」まで移動する必要がある制約を障がいなど一定の基準を満たした人に限り、自宅前乗車ができるよう提案。導入する2台はスマートフォンの専用アプリを使えば、1時間以上前に予約する必要がある現行ルールを緩和し、予約受け付け後、すぐに配車する「即時配車」を可能にしたい考えも示した。市はこうした提案を運行事業者側との事前の打ち合わせをせず、同会議に諮ったため、賛否両論が巻き起こる結果となった。
2022年ののらざあ運行開始前から、市は技術的に可能な即時配車の実施を模索していた。ところが、本業への影響を懸念するタクシー事業者側と折り合いがつかず、タクシーの優位性が確保される1時間以上前の予約をルール化することで双方が納得した経過がある。車いす利用者の乗車には介助を必要とする場合も想定されるが、体力や専門知識がない乗務員が介助を担う負担やリスクといった課題を指摘する声が相次いだ。
ただ、のらざあの運行を担う事業者の中には「試しにやってみるのも価値あることではないか」と市の提案に前向きな発言をする委員もいた。
ワンボックスカーを利用した現行ののらざあでは乗車できない車いす利用者が、希望すればのらざあに乗られる道が開けた。だが、実現に向けては市側と一部の運行事業者間での意見の隔たりを埋めていく必要がある。次回は8月中旬に開く。
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