茅野市八ケ岳総合博物館は16日、杖突峠展望台、同館、尖石縄文考古館の3カ所を巡るバスハイクを行い、八ケ岳西麓の地質、自然、遺跡から縄文文化を学んだ。16人が参加し、3人の専門家の話に耳を傾けた。
講師は地質について博物館の両角徹生館長、植物について同館専門委員の岩波均さん。司会進行役の小池岳史考古館長は遺跡についても解説した。
このうち、八ケ岳連峰や麓の集落、諏訪湖周が一望できる杖突峠では、望月館長が諏訪湖や八ケ岳連峰の成り立ちを紹介した。峠の南側から諏訪地域に向かって延びる中央構造線は茅野市内で西側に約12キロずれ、岡谷市の横河川から北に延びている。糸魚川―静岡構造線が曲がっていた場所にプレートの力が加わって断層が横ずれし、カーブの形とずれの向きの関係で陥没して水がたまったのが諏訪湖。縄文時代から八ケ岳西麓で豊富に採れた黒曜石はマグマの一部が急速に冷え固まってできた火山岩で、諏訪地方の地質が関係していた。
岩波さんは氷河期の植物の生き残りといえる八ケ岳の植物などを紹介。今よりも平均気温が2度ほど高かったとされ、八ケ岳西麓に多くの縄文人が住んでいた縄文時代中期の植物相にも触れた。多くの哺乳類の餌となる広葉樹林帯が広がっており、山の幸を享受していた。
小池館長は現在の集落と縄文遺跡の場所が重なることを峠からの眺望を生かして説明。「湧水が出るところに古くから人が住み、山の幸、湖の幸の恩恵を受けて暮らしていた。今の私たちにも通じるのではないか」と話した。
バスハイクで訪れた展望台は通常は立ち入りできないが、特別に許可を得て学習の場に活用した。
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