生木を使った木工の文化を地域に根付かせようと、茅野市ちので樹木管理会社を営む小池耕太郎さん(43)と大手アパレルが展開する宿泊・キャンプ施設(同市北山蓼科)の責任者、粟野龍亮さん(35)が市民活動団体「八ケ岳グリーンウッドワーク研究所」を設立した。ナイフなど人力の道具のみを使って生木と向き合い、森の恵みを感じながらものを作る価値を地域に伝えていく。
■茅野の小池さんと粟野さん立ち上げ
小池さんと粟野さんは「まちと森、人と木を結ぶ」ことをテーマにしたさまざまな体験型イベントをそれぞれ、または合同で企画してきた。これまでは生木を使った木工イベントを「グリーンウッドワーク」として前面に押し出してこなかった。地域住民と地元の自然との関係性を楽しみながら育む方法を模索する中で、協力して地域に根付かせていこうと意気投合し、団体を設立した。小池さんが代表、粟野さんが副代表を務める。
団体設立に先立ち、小池さんは森と木に関わるスペシャリストを育成する専門学校の岐阜県立森林文化アカデミー(同県美濃市)でグリーンウッドワークについて学びを深めた。
■活動は体験会と定例の2本立て
同団体の活動は体験会と定例活動の2本立て。まずはグリーンウッドワークの魅力に触れてもらうため23日を皮切りに体験会を茅野市みんなのまちづくり支援事業を活用して開く。初回は同市泉野のそば店「傍」で午前10時から。2回目は7月11日に同市ちののカントリーキッチンくるみで午後1時から。フォークやバターナイフなどを作る。
9月ごろからは定例活動を開始予定。毎月1回、市内の活動拠点に会員を集めてみんなで生木を使った木工を楽しみ、交流する。
小池さんは「産業革命より前、多くの人々は生木を加工して生活に生かすことを当たり前のように行っていた。生木を削ることで自然と向き合い、自分と向き合う豊かな時間を感じてもらいたい。八ケ岳の自然を次世代に正しくバトンタッチすることになると思う」と話した。
体験会への参加希望などの問い合わせはメール(8greenwoodwork@gmail.com)へ。
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【グリーンウッドワーク】 里山など身近な森で伐採したばかりの水分を含んだ生の木や枝を原料にし、ナイフなどの手道具で削って小物や家具などを作る木工。木材は乾燥が不十分な状態で使うと、寸法変化が起きるため、一般的には天然または人工的に乾燥させてから使用する。一方で自然を感じ、生木の特徴を味わいながら人力の道具のみで仕上げる過程も含め、他にはない独自の木工品を日常生活で使うことに価値を感じる人が増えつつある。
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