16日の強風の影響で、下諏訪町のJR下諏訪駅前のモニュメントとして長年親しまれてきた模擬御柱の2本のうち西側の1本が倒れた件で、関係団体が残りの1本についても撤去を検討していることが分かった。模擬御柱の維持管理に協力してきた下諏訪観光協会によると、JR東日本や関係各所と協議を進めており、6月中の撤去に向けて調整中。地域住民からは「寂しい」「観光にとってインパクトがあった」と惜しむ声が聞かれた。
模擬御柱は、1998年の長野冬季五輪の開会式で披露された建て御柱で使用したモミのうちの2本を、町民有志が譲り受け同年4月7日、下諏訪駅前に建てた。高さ約10メートル、直径約80センチで、地中に2メートルほど埋められていた。2009年には大規模な補修を施し、鉄筋を打ち込み、薬剤を注入するなどして補強した。
今回の倒壊事故に先立つ5月8日からは腐食防止の工事ため周囲に足場が組まれていた。足場のネットが強風にあおられて足場ごと模擬御柱が折れて傾いたとみられる。傾いた御柱は16日中にクレーンで撤去された。
駅前にある川魚店の本山蓮美さん(29)は事故当時、強風を心配して外に出たところ、模擬御柱が傾いて電線に掛かっているのに気が付いた。「(完全に)倒れるんじゃないかと怖かった」と振り返った。模擬御柱は観光客からも人気だったとし、「中学生の頃は待ち合わせ場所だった。なくなって存在の大きさに気が付いた」と残念がった。
模擬御柱の設置に関わった町内の男性(78)は「(模擬御柱は)『御柱の町』として大切にしたかった。やり切れない気持ち」と撤去方針に寂しさをにじませた。同観光協会は「安全確保を優先したい。町の玄関口なので新たなモニュメントについても検討していきたい」とした。
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