茅野市北山の糸萱区(篠原弘区長)は28日、地域住民同士の交流を目的に開催してきた区民祭「公園祭」を「糸萱さくら祭り」に改め、隣接する蓼科中央高原自治会員を初めて招いて行った。区民の親睦とともにコロナ禍以降、移住者が増加傾向にある同自治会との交流を深め、地域の活性化と防災力強化を図りたい考え。「地元の皆さんと緩やかにつながることは大事」と来場した移住者の姿もあった。
県内の多くの地域と同様に同区でも若者の流出や住民の高齢化が課題となっている。一方で蓼科中央高原では森林に囲まれた別荘地よりも糸萱区に近いエリアで新しい家が建っており、景観に加え、高原の雰囲気が似合うカフェやレストラン、観光施設が多数立地している点が移住者を引き付けているようだ。
篠原区長(67)によると、同区は同じ北山地区内の昔からある集落とのつながりは深いが、蓼科中央高原とは住民同士の個人的な関係はあっても区、自治会間では薄かった。地域の活性化につなげるとともに両区・自治会は災害発生時に助け合う間柄でもあるため、顔の見える関係づくりを始めていこうという思いも同祭りに込めた。
今回のテーマは音楽。すでに葉桜ではあったが、区自慢のタカトオコヒガンザクラの木の下で、地元の「糸萱乙女滝太鼓」や茅野北部中学校吹奏楽部、蓼科中央高原の住民が和太鼓、吹奏楽、ウクレレを演奏した。クレープやソフトクリーム、団子、ドリンクなど6台のキッチンカーが並び、いずれも盛況だった。当日のみキッチンカーで使えるチケットを同自治会にも配り、来訪を呼び掛けたこともあって家族連れで訪れる自治会住民の姿も見られた。天候にも恵まれ、にこやかに過ごしていた。
篠原区長は「区と自治会がつながりを深め、互いにいいものを取り入れ合う関係をつくっていきたい」と語った。数年前に神奈川県から移住し、来年度は自治会役員を務める予定という本田浩さん(47)は「大事な局面では、糸萱区さんと連携して対応する必要がある。つながりのきっかけができるいい企画」と話していた。
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