伊那市手良の認定こども園「山の遊び舎はらぺこ」で6日、0~1歳半ぐらいの赤ちゃんと保護者を対象にした「赤ちゃん食堂」が開かれた。赤ちゃんに離乳食を、母親には温かい食事を提供する赤ちゃん版の子ども食堂で、同園によると上伊那地域では初めての試み。市内外から9組26人が参加して「同じ釜の飯」を分け合い、穏やかなひと時を過ごした。
核家族化など家庭環境が多様化する中、コロナ禍もあって育児や食事の孤立が課題になっている。特に、離乳食を与える母親は自分の食事もままならず、社会との接点も取りづらい。赤ちゃん食堂は、「同じ釜の飯」を食べて人とのつながりや共感を育むことで、「孤育て」をなくし、子どもが幸せに育つ社会を支えていこうと企画した。
離乳食は園側が無料で提供し、赤ちゃんの成長に合わせて調理法や形状を変えた3種類を用意。続いて、保護者は鶏のソテーや夏野菜のグリル、かぶのポタージュ、ご飯や紅茶のゼリーなどに舌鼓を打った。食事中は同園の保育士や保護者らが赤ちゃんに寄り添い、母親・父親同士で会話を楽しんだり、保育士や助産師、栄養士の話を聞いたりする光景が広がっていた。
家族4人で訪れた小林大貴さん(33)=南箕輪村=は「(妻と)久しぶりにゆっくりご飯を食べることができました」と語った。6カ月の長女と参加した金子礼子さん(37)=伊那市=は「先輩ママの体験や専門家の皆さんの話が聞けて勉強になりました。子育てを頑張らなきゃと考えていましたが、もう少し緩くていいのかなと思いました」と笑顔を見せた。
同園の助産師、松井由佳さんは「みんなで食べるご飯のおいしさ、幸福感を子どもも親も感じる場にしていきたい。赤ちゃん食堂を通して人とつながる機会をつくっていけたら」と語り、赤ちゃん食堂の普及を願っていた。
次回は11月30日に開く。
問い合わせはNPO法人山の遊び舎はらぺこ(電話0265・76・3341)へ。
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