茅野市内の20~40代の農業者7人が新規就農希望者を市内に呼び込むため、自ら能動的に動いて農業の魅力を発信する任意団体「信州ちの就農LABO(ラボ)」を立ち上げた。寒暖差が大きく、質の高い農産物が生産しやすい環境と首都圏へのアクセスの良さ、地球温暖化が進行しても栽培可能な品目が多いと見込まれる―といった好条件がそろう茅野市を農業者ならではの視点で積極的にアピールしていく。
7人は野菜、果樹、花きの農家でパセリ、リンゴ、トルコギキョウなどバラエティーに富んでいる。農業者を呼び込む新規就農支援は行政やJAなどが以前から行っているが、代表を務めるキク農家の鈴木紘平さん(45)=同市泉野=は「専業の農業者自身が自分の言葉で就農希望者に語り掛けることで、市や団体の職員の説明だけでは伝わらないものを感じてもらえるのではないか」と語る。同じ思いを持つ仲間同士で団体の構想を話し合ってきた。
手応えを感じたのは、1月に都内で行われた国内最大級の就農イベント。茅野市のブースで市職員とともに来場者を呼び込み、茅野市の農業の可能性を熱っぽく伝えた。いつの間にか会場に並んだ約200の出展ブースの中で特に活気があるブースとなっていた。
産業全般の採用環境は求職者に有利な「売り手市場」が続いている。にもかかわらず、新規就農の際に「もうからない、寝る時間がない、都会育ちの人には無理」といったネガティブなイメージで農業を語る人が農業関係者の中にもいることを7人は残念がる。
そのうちの一人でリンゴ農家の野口昂大さん(30)は「確かに忙しいし、利益が少ないという側面はあるといっても、それは利益を規模拡大など将来に向けて投資し、6次産業化も見据えて新たな挑戦をしているためであって、単にかせげないというのとは違う」と語る。IT業界から転身した鈴木さんは「農業の大変さは以前の仕事と同じくらい」と笑い、トルコギキョウ農家の坂本愼悟さん(39)=同市湖東=は「自分たちが作ったものが市場を通じてそのまま消費者に届く面白さは農業ならでは。いい花に育ったのを見るとうれしくなる」と笑みを浮かべた。
今後は就農イベントへの参加と情報発信、農業体験などを行う。仕事だけでなく、農家の生活ぶりも見せて就農後の暮らしをよりイメージしやすくする工夫も検討中。
鈴木さんは「茅野市には農業に適した環境があって大きな市場にも近い。互いに高め合い、新たな価値観を求める仲間のコミュニティーがある。温暖化が叫ばれる中、標高が高く冷涼な地に整備された農地があり、今後、低地では暑くて作れなくなるような農作物にも挑戦できる可能性がある。茅野市で就農するメリットはとても大きい。関係機関と連携し、強みを私たちの口から直接伝えていきたい」と意気込んでいる。
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